LAMDASH パームイン買った

|

購入のきっかけ

可愛い LAMDASH PALM IN

特別な理由があったわけではない。 ただ、これまで使っていたラムダッシュが、さすがに限界に来ていた。

いちばん安価なモデルを、たぶん10年以上使っていた。なぜこのモデルを買ったかは理由があり もっとも安価なモデルを買い、それがダメになったら買い換えるのがコスパ最高だと信じていたからだ。 結果として10年以上使ってしまった。どこかにぶつけたのか、数年前から外刃の一部がめくれ上がり、 実質的に刃の半分くらいしか使えなくなっていた。機械としては、もうだいぶ壊れている部類に入るのだと思う。 だが、壊れているからといって、即座に捨てる理由にはならない。少なくとも自分にとってはそうだった。

まだ使えなくはない。 その「なくはない」が厄介で、人はそこにぶら下がる。しかも私はもともとズボラで、髭を剃る頻度も高くない。 結果として、片肺飛行みたいな状態のシェーバーを、貧乏根性そのままに使い続けていた。 使える刃の表面積が半分になっているため、髭に刃が当たるよう、 髭が生えているポイントに器用に空気を押し込み、顔を部分的に膨らませて剃っていた。 客観的に見て滑稽としか言いようがない。 そこらのシェーバーの広告を見て欲しい。濡れた目をした甘いマスクの白人男性が、 彫刻のように整った顔を整ったままに髭を剃っている。本当にふざけている。

買い替える気は、べつになかった。 ただ、いつだったか知人が LAMDASH PALM IN を買ってよかった、みたいなことを言っていたのをふと思い出した。 ちょうどその頃、ヤフーショッピングで超PayPay祭りという、内容はよく知らないのに名前だけは異様に景気のいいセールが開催されていた。 現代の消費は、こういう勢いのある固有名詞に背中を押されて決まることがある。私は買い替えた。

LAMDASH PALM IN がやってきた

届いた箱は、驚くほど小さかった。 本体は AirPods よりひと回り大きいくらいで、髭剃りというより、ちょっと高価なガジェットか化粧品のように見える。 箱のデザインも洒落ていて、いかにも家電です、という押しつけがない。 あの、甘いマスクの白人男性が濡れた目で頬を撫でているような、 謎のシェービング広告が入り込む余地は最初からなかった。

それにしても、あの手の広告写真は何なのだろう。 あんなに美しい目をしたまま髭を剃っている人間を、私は現実に見たことがない。 普通、髭剃りはもっと実務的な行為だ。朝の洗面所で、多少眠く、多少だるく、鏡に映る自分の生活感を受け入れながらやるものだと思う。 少なくとも、あんな映画のワンシーンみたいな顔ではやらない。たぶん。いや、知らないが。

箱を開封

個人的に、パナソニックの家電にはかなり強い信頼を置いている。 理由は単純で、実用のレベルが期待を下回った記憶がほとんどないからだ。電源タップ はパナソニック一択だし、ヘアドライヤーもそうだ。 ドラム式洗濯機もそうだった。昔はプラズマテレビも愛用していた。

松下幸之助の名前は、いまでは理念として消費されることのほうが多いのかもしれない。 けれど、失敗を単なる失敗で終わらせず、考え、工夫し、次に接続していくというあの発想は、 少なくとも自分が触れているパナソニック製品には、いまもわずかに流れている気がする。 大げさかもしれないが、使っていてそう感じる。

使ってみた感想

ちょうど2、3日前に剃っていたので、髭はそこまで伸びていなかった。 それでも新しい道具というのは、届いた瞬間に試したくなる。フル充電して、そのまま剃ってみた。 フォームは使っていない。というより、人生で一度もちゃんと使ったことがない。

結果として、差はかなりはっきりしていた。 剃ったあとの肌を手で触ると、明らかにツルツルしている。これは普通にすごい。 効率も飛躍的に向上したと思う。今まではブレードの半分の面積しか使ってなかった。 捲れ上がった鋭利な金属で怪我をしないように恐る恐るに顔面を剃り上げていたからだ。 これは顔に当たる刃の面積が広いからか、以前より短時間で終わる感じもある。

もちろん、これまで使っていたのは3枚刃で、今回は5枚刃だ。 しかも10年以上前のシェーバーと最新機種を比べているのだから、差が出るのは当たり前かもしれない。 だが、当たり前にしても、この小さな筐体でここまでやるのかと思う。 しかも中にはAIまで入っているらしい。ついに髭剃りもそういう時代か、と思う。すごいぞパナソニック。

価格は、正直ちょっと高かった。だが、どうせ今回は20年くらい使うつもりで買った。 そう考えると、損をしないためには使うしかない。だから今後は、これまでより髭を剃る頻度を上げようと思う。

道具は、使ってこそ意味がある。使うものを買う。そのために金を使う。 そういう消費の仕方は、年齢とともにむしろ明確になってきた気がする。 安いか高いかだけではなく、生活の中で実際に機能するかどうか。その基準で選ぶほうが、たぶん気分がいい。

買ってから気づいたこと

ひとつだけ、買ってから気づいたことがある。 以前のラムダッシュには、小さなバリカンのようなものが付いていた。少し長めに伸びた髭をまずそれで落としてから、 本体で剃ることができた。パームインには、それがない。

つまり、長く伸びた髭を段階的に処理する、あの雑に便利なやり方ができない。 とはいえ、別に髭を伸ばしたいわけではないので、いまのところ大きな問題ではない。必要になれば、別で持っているバリカン を使えばいい。もちろん、それもパナソニック製だ。

ここまで来ると、もはや信仰に近いのかもしれない。 だが信仰というのは、本来こういうものなのだと思う。派手な教義ではなく、毎日使うものがきちんと動くこと。 その静かな積み重ねでしか、人は何かを信用しない。